【前編】中途採用のよくある失敗事例とその要因とは!~マーケットデータを活用した求人の要件定義~
▼ 2022年3月16日に公開した記事です ▼
思うように人材採用が進まない、時間と費用ばかりが嵩んでしまう、中途採用に悩みをもつ人事担当者は多いと思います。
中途採用がうまくいかない理由と採用をスムーズに進める方法について、パーソルキャリア株式会社HR forecasterサービス企画の斎氏が解説します。
今回は、以下に関して、記事にまとめさせていただきました。
●中途採用でよくある失敗事例
●企業の人事担当者の直面する課題
●要件定義のメリット
本記事は、【前編】【後編】と2つに分けてまとめており、今回はその前編になります。
【後編の記事はこちらから】
▶【後編】人材採用の成功には要件定義がキモ!その重要性と方法とは
斎 伊織
パーソルキャリア株式会社 サービス企画統括部 サービス企画部 ディレクター
2018年より、パーソルキャリア株式会社に新卒で入社。
dodaエージェントサービスの法人営業として、IT・コンサル領域を中心に業界の中小~大手企業の採用支援に従事する。
大手企業を専門に担当する新設の営業部に異動後、各種社内表彰を受賞。
現在はサービス企画担当として、HR forecasterなど、複数の新規サービス開発を務める。
中途採用でよくある失敗事例
中途採用が一般化していますが、すべての採用がうまくいくとはかぎりません。応募者が集まらない、書類選考にて不採用で面接に進まない、内定を出しても辞退されてしまうこともあります。
そのような悲劇が起こってしまう理由は主に3つです。
1.ターゲットがあいまいである
2.現場の要求する要望が高すぎる
3.要件がころころ変わってしまう
1.ターゲットがあいまいである
現場との漠然とした会話の中で採用したい人材の要件が決まってし、結果的に採用したいターゲットが曖昧になってしまうことがあります。
2.現場の要望が高すぎる
採用したい人材の要望が多すぎる場合、条件を絞ろうとしても現場の方に断られてしまったり、見切り発車で進めることで募集時の必須条件が非常に多くなってしまうことがよくあります。
3.要件がころころ変わってしまう
実際の候補者を見た後に、「やっぱりこう」、「やっぱりああしてくれ」、「やっぱりどうしてほしい」と現場から条件が加わり、要件が変わってしまうこともよく起こります。
失敗が起こる根本原因とは
これらの事象のどんなところに問題があるのかについて詳しく見ていきます。
1.ターゲットがあいまい
・どういう人材を採用したいのか具体的にわからず、人事もエージェントも紹介がしづらくなる
・不明確なことが原因で自社の強みをどのようにアピールしていけばいいのかわからず、応募がなかなか集まらない
2.要望が高すぎる
・ターゲットの候補者が少なく、そもそもの母集団形成ができない
・年収がターゲットと乖離しており、求人を見ても候補者が応募に至らない
3.人材要望がころころ変わる
・要望どおりの候補者の応募があっても、現場での書類選考で不採用になる
・ターゲットの変更を繰り返しすぎたために、エージェントが迷ってなかなか応募者の推薦をだしづらくなり、紹介数が減ってしまう
このような失敗事例のような状況の場合、採用が成功しない、採用期間が長くなる、コストがかさんでしまうということが起こります。
結果的に採用できればよいですが、採用できない、再現性が低い採用活動になってしまう傾向があります。
企業の人事担当者の直面する課題
失敗する事例が起こる理由を深堀して、人事担当者が直面している課題についてみていきます。
これに関しても3点の課題が見えてきます。
1.人材の相場観が不明瞭
2.現場との合意形成が難しい
3.エージェントに正しく採用したい人材を伝えづらい
1.人材の相場観が不明瞭
人事担当者の場合、経験や感覚で「採用の相場観」がわかっている場合もありますが、現場には「採用の相場観」が醸成されておらず、理解不足のため要望が高すぎたり、年収が低くなりすぎるという傾向があります。
一方、人事でも数年ぶりの採用であった場合、相場観が以前と変わっていたり、今まで採用したことがない職種や経験の人材を採用する場合、難易度や年収、要件の「採用の相場観」がわからないことがあります。
2.現場との合意形成が難しい
採用市場の変化や、求める要望が高いなど採用がうまくいかない可能性が高い状況でも、明確な根拠がないため現場との合意形成が難航することが多くあります。
3.エージェントに正しく採用したい人材を伝えづらい
社内で目線や条件が明確になっていない状況でエージェントに依頼をした場合、要件が漠然としているためエージェント側が対象者を絞り込めず、エージェントとのすり合わせがさらに必要になる場合もあります。
社内で時間を使っている上に、エージェントとのすり合わせにも手間がかかってしまうのです。
このように、「採用の相場観」がなかったり、現場との合意形成が難航してしまったり、エージェント側とのすり合わせがスムーズにいかないということが、採用がうまくいかない原因となります。
ではどのようにすれば中途採用は成功するのでしょうか。
要件定義のメリット
中途採用の成功の秘訣は「要件定義」=「採用ターゲットの明確化」です。
要件定義には、下記3点のメリットがあります。
1.採用ターゲットの妥当性が確認できる
2.採用ターゲットの共通理解ができる
3.採用ターゲットへの訴求ができる
1.採用ターゲットの妥当性が確認できる
求めるスキルをもっているような人材の年収と自社が提示できる年収のバランスを確認することが可能になります。
応募獲得するにあたって、スキルと年収のバランスはとても重要なポイントです。
この点を確認することで、応募の獲得、オファー時の競合他社に負けないこと、内定辞退が少なくなります。
2.採用ターゲットの共通理解ができる
要件が曖昧だと社内の各担当と採用ターゲットが共有できず、現場は「いいね」と言ったものの、二次・三次の面接官に「全く違う」と落とされてしまい、採用が前に進まず、どうすべきだったのかがわからなくなってしまうこともよくあリます。
要件定義をすると関係各所とのすりあわせが容易になり、一次面接官、二次面接官が良いといった人材は、より上位の面接官もその良いといった部分に関しての評価が高くなる傾向があります。
さらにエージェントとも共通認識を持つことができ、候補者が紹介されやすくなります。
3.採用ターゲットへの訴求ができる
採用は、いわゆるプロモーション的な側面も含んでいます。
PR活動と同様、どのような人に向けて、自社のどのような強みをアピールし、どのような形で応募につなげるかという点を考えなくてはなりません。
自社の強みの明確化とそれを届けるターゲットの明瞭さというのは応募率に直結します。
自社の強みを訴求するにあたって、誰に届ければいいのかを考えるためにも、要件定義は重要です。
要件定義が曖昧なことが、採用がうまく進まない原因となります。
要件定義の方法
求人の要件定義は、いわば「物件を探すときと同じ」です。
たとえば物件を探すときには、駅前、コンビニやスーパーが近い、日当たり風通しがよい、家賃はいくらぐらいが良い、と色々考えて条件を設定し、比較検討します。
比較検討した結果を優先順位をつけて引っ越しされるのではないでしょうか。
その感覚は採用でも同じです。
要件定義の方法は以下になります。
1.採用したい人材のイメージを、具体的な条件に落とし込む
2.条件の優先順位をつける
3.年収・スキルのバランスをマーケット情報から確認する
4.現場とターゲットに関して、すりあわせて合意する
1.採用したい人材のイメージを、具体的な条件に落とし込む
はじめに、現場の方とイメージに合う人の条件のすりあわせを行います。
現場と話し合っている時間がなく、エクセルで要件を聞いたところ、各ポジションに要件が一行ずつしか書かれていないということが大企業などでよくあります。
このようなことが要件の曖昧さにつながるため、できるだけ丁寧に進めていくことが、後々の手間を省くことにつながります。
要素のヒアリングはしっかり実施してください。
2.条件の優先順位をつける
要素がでたら、営業経験は一番重要、リーダー経験は2番目に重要といように優先順位をつけていきます。
優先順位をつけるにあたって、「どんな人がほしいですか」と聞くだけでなく、その背景についても話すことがポイントです。
「なぜ、Aさんのような人が必要なのか」、「なぜ、この条件が必要なのか」、「そもそも何に困っているのか」などの背景が大事になります。
背景を問うことで現場の課題認識や価値観が整理され、目線をそろえることが可能になります。
場合によってはそのフェーズで違う条件でも合致する可能性もあります。
優先順位をつける際のポイント
通常、採用のストイラクゾーンは現場要望の条件を整理するのが一般的ですが、ストライクゾーンとあわせて書類選考の通過ラインを設けるのがポイントです。
絶対に面接したいストライクゾーンの要件とは別に、書類通過ラインとなる必須・尚可条件の確認をするが大事です。
エージェントの紹介も進み、人事側としても採用活動の進捗がわかりやすくなります。振り返りと改善を行いやすくなる利点があります。
3.年収・スキルのバランスをマーケット情報から確認する
要件が整理できたら、求める条件、まとまった条件、提示したい年収がマーケットの市況感とあっているかを確認しましょう。
それらが決定したら、最終的に現場と合意形成を行います。
4.現場とターゲットに関して、すりあわせて合意する
現場からの要望をそのまま受けとって、すべてを必須要件に書いてしまうことなく、話をする中で、「理系であった方がよいかもしれませんが、候補者の数が絞られてしまいます。
書類の通過ラインとしては理系じゃなくても大丈夫ですか」などと事前に聞いた背景をもとに提案し、最終的に「職種の経験、マネジメント経験必須で理系という点は尚可条件にさせていただきます」というように合意形成を行います。
もちろん、採用の要件を決めるのは現場です。
現場はその道のプロであり、その専門性の高さゆえ、結果として要件が高くなりすぎ、合意形成が難航する場合があります。
ただ、要望が高くなればなるほど、それに見合う給与条件の調整が必要となり、候補者を集める難易度も高くなります。
年収の相場観に条件をあわせていくのか、条件に年収をあわせていくのかは常に判断が求められるところです。
5.すり合わせがうまくいかない時は
すりあわせがうまくいかないときには、「ターゲット年収と人材要件のバランスの調整」、「要件緩和」、「条件の置き換え」という観点で、現場と話すことをおすすめします。
次回の【後編】では、具体的な要件定義の方法、効果的なマーケットデータの活用に関する記事をご紹介していますので、ぜひご覧ください。
【後編編の記事はこちらから】
▶【後編】人材採用の成功には要件定義がキモ!その重要性と方法とは
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