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職種・業界に特化したマーケットデータの活用方法「建築・不動産専門職」編

▼ 2023年9月25日に公開した記事です ▼


採用をスムーズに進めるためにマーケットデータを活用した求人の要件定義・求人票作成は重要です。

今回はマーケットデータを簡単に検索できる「HR forecaster (エイチアール フォーキャスター)」を活用して、「建築・不動産専門職」人材の採用を行う方法を、パーソルキャリアHR forecasterサービス企画の斎と建設・不動産業界を専門とする担当が説明します。


要件定義の重要性

要件定義とデータ活用の重要性

中途採用を成功させるために、「求人の要件定義 = 採用ターゲットの明確化」がポイントとなります。
要件定義を実施することで、以下のようなメリットがでてきます。

・ターゲットの妥当性の確認ができる
・関係者間での共通理解がしやすくなる
・採用施策を具体化できる

しかしながら、経験則だけ要件定義を行うことは困難であり、マーケットデータの活用が大きなポイントになります。
マーケットデータを活用することで3つの効果が得られると考えられます。

・論理的に妥当性を確認できる
・合意形成の根拠になる
・PDCAが回せる、ネクストアクションでどうすれば良いかが分かる

改めてマーケットデータを活用することで、効果的な採用活動ができるようになります。

要件定義・採用施策を考える際のポイント

冒頭、要件定義の重要性とデータを利用する重要性について説明させていただきました。
ここで要件定義と採用施策を考える際のポイントですが、次の4点があります。

このうち、以下のデータについては、「HR forecaster」で取得が可能です。

・年収
・ターゲット人数
・競合状況

しかしながら、「候補者の志向性」については提供していません。そこで、今回のテーマとなる「建築・不動産専門職」についての志向性や求人の動向について説明していきます。なお、今から提示するデータはパーソルキャリアの調査部門による結果です。

建築・不動産専門経験のある求職者の志向性

建築・不動産専門職の志向性

「不動産専門職」の転職理由については、1~5位までは前年度と同じ結果となりました。

特徴的なのは、1位の「業界の先行きが不安」の割合が26.7%と、他職種と比較しても高いという点です。
また、6位(前年8位)「市場価値を上げたい」、10位(前年19位)「昇進が望めない」が、前年度から順位がアップしていることも特徴です。

新型コロナウイルス渦において、自社・業界の先行きを不安視している方が他の職種と比べても多いことがわかります。
自分が生き残るために市場価値をあげるにはどうすればいいか、昇進したいが今の会社では上が詰まっているという点を気にして転職される方が増えつつあります。

「建築・土木系技術者」の転職理由は、1~6位までは前年度と同じ結果となりました。
建築・土木系技術者の採用については、採用難が続く中で、社員の離職率を下げるため、就業環境改善に取り組む企業が出てきています。

2021年以降の市場について不安視する転職希望者も多く、働き方改革と併せて、その不安を払しょくするアプローチが必要となってくると思われます。

不動産営業職の動向

■ 登録者の動向
ハイスキル人材の競争率が高まっている状況です。

登録者は3月以降増加傾向が続き市場の動きは活発化しているものの、一方で、若手人材の登録が比率を増やしており宅建資格保有率は低下しています。

若年層は不動産業界以外への転職を希望するケースも多く、実際に書類選考通過率も上昇傾向であり、今後、不動産業界外への若手の転職が続けば、将来的な経験者採用に影響が出る可能性も考えられる状況です。

そのため、ハイスキル人材のニーズが高まっており、競争率もそれに伴い上がっている状態となっています。


■ 求人の動向
求人数は引き続き増加傾向です。
新型コロナウイルスの影響はありつつも、2021年8月の求人数は同年3月で約1.2倍に増加しています。

新型コロナウイルス渦で一時は採用を抑制する動きもありましたが、アフターコロナを見据え、積極的な採用にシフトしている企業が増えてきています。

また、これまでは経験者重視の採用が中心となっていましたが、「経験者採用の苦戦」、「社内の若手~中堅層の人材不足の深刻化」といった理由から、未経験者(ポテンシャル層)をターゲットとした求人も増加している状況です。


■ まとめ
これらを踏まえて、
・採用目的を叶えるための適切な要件定義
・自社ならではの魅力を訴求できるかがポイント
が採用の成功ポイントとなってきます。

具体的にいうと、
①即戦力にアプローチする
②自社で活躍できる見込みのある未経験層へのアプローチ
という2軸で採用を進めると成功の確率があがると思われます。

①に関しては、当該職種の経験者だからこそ気にする自社ならではの情報の訴求が必要となってきます。
②に関しては、どんなスキルを持っている人材が活躍できるかの見極めと、その人材の志向性を見極めた上で、自社に転職をすることへのメリットを打ち出していくことがポイントとなるでしょう。

不動産専門職の動向

■ 登録者の動向
登録者は微増を続けています。
半数以上が30代以上となっており、同業他社への転職が増加傾向にあります。

年齢を重ねていくごとに大きなキャリアチェンジの希望は見られなくなり、同業同職種か異業種同職種へ、給与水準や就業環境の改善を望んで転職を希望するケースが増えている状況です。


■ 求人の動向
求人数もアフターコロナを見据え、4月から求人数が増加傾向です。
8月は前月比約1.05倍、年度初めの4月比では約1.28倍となっています。

引き続き、マンション管理やビル管理などの不動産管理業は堅調なニーズがあり、採用難易度はやや高まる傾向にあると思われます。

■ まとめ
採用の成功ポイントとしては、経験者採用、有資格者採用では、給与水準を上げたい、就業環境を変えたいという転職理由が多いことから、「現職と比較して何が良いのか」を明確にすることが重要です。
どの点(働き方、年収、会社としての将来性、社風、スキルアップなど)を転職希望者に訴求していくべきか、しっかり言語化し、差別化していく必要となってくるでしょう。

有資格者になると母集団が少ないため、シニア層の雇用形態の切り替えや嘱託採用、定年延長といった、雇用変更が柔軟にできるかも採用力を高めるポイントとなってきます。

併せて面接確約アプローチなどを用いた“待ちではなく攻め”の採用、社員紹介(リファラル)やスカウト型のサービスなどの採用チャネルも並行して利用することが重要となってくると思われます。


ケーススタディによる「HR forecaster」のデータの読み解き方


「HR forecaster」ででてきたデータの読み解き方についてみていきましょう。
実際に、数字を見ながらどういった施策をとるべきかケーススタディの中で説明していきます。
なお、ここからは建設・不動産企業専門のリクルーティングアドバイザーである谷合からの補足や対話をしながらご説明をさせて頂きます。


ケーススタディ①:オファー年収が候補者の平均年収と乖離している

施工管理経験2年以上で、転職回数4回以下、建築管理技師1級の方を調べた結果の「HR forecaster」の診断結果です。

このケースでの重要なポイントは、「平均年収」となります。
設定したオファーの年収と平均年収に乖離が見られる状況です。

打ち手として、3点ほど考えられます。
①年収UP
②ターゲットの変更
③現状維持で他の優位性を創出する


■ 建設・不動産専任担当:HR forecaster上で「施工管理経験 2年以上」を検索条件としていれたことで、ターゲットとなる年齢層が広くなります。
現状、施工管理の採用が難しいので、多くの企業が40代、50代までターゲットを含めています。
そのため平均年収が高くなってしまうのです。

とはいえ、打ち手の1番目の「年収アップ」を行うことは難しいと思われます。
そこで、たとえば求人によって「ジュニア層向けの求人」「ミドル層向けの求人」「シニア層向けの求人」と求人票を分けてだすことで、記載する年収を変えることができます。

こういったターゲットに合わせた求人票の作成を、企業の皆様にお勧めしています。

■ 斎:「年収400万円~1,000万円」という書き方をしている求人票もありますが、その中でも分類分けをすることで、応募者数にも影響はあるのでしょうか。

■ 建設・不動産専任担当:「年収400万円~1,000万円」という書き方は最もよくない求人票だと我々は捉えています。

というのも(dodaの場合)候補者が求人を検索する際に、下限の年収をいれて検索をするケースが多いのですが、600万円以上の年収を希望する方が600万円以上で検索した場合、「年収400万円~」という書き方をすると検索にヒットしなくなってしまうのです。

年収の幅をもたせるというよりは下限年収を意識して求人票を作るのがポイントになってきます。

年収の幅を広げれば広げるほど門戸を開いていると思いがちですが、実際はそうではなく、きちんと分けた方が候補者の手に届きやすい場合もあるということです。

■ 斎:要件を3つの求人票に分ける場合、具体的にはどのように要件定義を進めればいいのでしょうか。

■ 建設・不動産専任担当:ジュニア層に対しては、施工管理の資格と経験になると思います。
ミドル・シニア層であれば、マネージメント経験、+αの資格、種別の建物の経験といった要件を追加することを提案しています。

■ 斎:同じ内容で、年収だけを変えた求人を3つ掲載するというわけではなく、個別でマネジメントを追加するなどカスタマイズはきちんとしないと効果としては薄れるということでしょうか。

■ 建設・不動産専任担当:そうですね。
要件を変えることはもちろん、具体的にどういうことを任せたいのか、どのようなことを期待しているのかなど年齢によって変わってくるので、それに合わせて求人内容も変更する必要があると思います。

そのため、年収の乖離がでるケースでは、ターゲットを変えて求人票を分けるというのも試していただければと思います。

その際に、担当営業から提供できるHR forecasterのデータのひとつとして、「競合案系の提示年収」があります。
このデータを活用しながら、提示したい年収と全体のマーケットの中でのポジションングを確認していただくと良いかもしれません。


ケーススタディ②:条件を満たす候補者数が少ない

不動産の運用と管理3年以上かつ理系の大学院卒以上で、「HR forecaster」で検索した結果です。

この場合は、「採用決定までの平均日数」「条件を満たす候補者数」がポイントとなります。

「採用決定までの平均日数」が表示できない場合は、サンプルが10件以下の場合です。
そのため、候補者数がかなり少ない状態で、決まりづらい状況です。

打ち手としては下記3つが考えられます。

①ターゲットの変更
②現状維持で他の優位性を創出する
③採用チャネルの拡大


■ 建設・不動産専任担当:我々もこの3つを提案すると思います。
そもそものターゲットが少ないとなったときに、採用状況や採用背景にもよるとは思いますが、欠員状態のためすぐに人がほしい企業に関しては、やはり要件を変更しないと厳しいという話をさせていただいています。

条件を満たす30人の中から幸運にも応募があった場合は、その人を逃さないために、面接の回数を一回にするなど面接フローの短縮や即日内定を出すといったスピード感をもって対応する必要があることも提案しています。

また、どうしてもこの要件で採用したいという場合には、チャネルの拡大といった、別の手法を用いた採用を進めることもおすすめしたいです。

■ 斎:求めるターゲットが極端に少ない場合は、そもそものターゲットを変更する、または、ターゲットをとるためにどのような手法をとるか、という2方向のうちどちらで進めるのかを社内で決めていただく必要があるということになるわけですね。

たとえば、先ほどお話しにあった面接フローの短縮などを提案したものの企業側がそれは難しいと判断した場合、どういった着地になるケースが多いのでしょうか。

■ 建設・不動産専任担当:昔からの慣習で社長との面接が必要など、最初は断られるケースが多いのが実情です。
そこは我々が粘り強く交渉していく場合もありますし、または、選考会のような形で、役員や現場の方の日程を先に押さえてもらい、そこに候補者を呼び込み、1日で複数部門の方と面接ができる状態を作り面接回数を減らすといった提案をしています。

■ 斎:通常フローの部分は残しつつ、特殊な形としてフローを構築していくというイメージでしょうか。
主に、3つの打ち手がありましたが、中でもどの打ち手を提案されることが多いですか。

■ 建設・不動産専任担当:一番多いのはターゲットの変更です。
現場からの要望が強いケースがほとんどのため、現場の方と直接お話し、条件を緩和していくことになる場合が多いです。

お話する際は、「HR forecaster」のデータの他、具体的にどういう候補者がいるのか、選考に進んでいる人が何人いるか、ターゲティングできる候補者が何人いるかなど、我々が持っている詳細データも提示しています。

現場の方は普段採用をしていないため、マーケット情報に関する認知の乖離は大きく、データを提示することで納得いただけたという声はよく聞きます。

■ 斎:これらの認知の乖離は、現場と採用担当の方の間でもしばしば起こっているのではないでしょうか。
該当者が少ないというデータを人事から現場へ共有することで、採用のスピードを早めることが可能になると思われます。


ケーススタディ③:競合する他社求人数が多い


建築・土木・不動産・住宅営業の1年以上の経験で、「HR forecaster」で検索した結果です。

ここで注目していただきたいのが「競合する他社求人数」です。
候補者数が多い一方で、競合する他社も多いケースとなります。

この場合、大量の求人に埋もれてしまうということが起こりえます。


■ 建設・不動産専任担当:最近特に多くなってきた印象があるケースです。
我々、建築・不動産部が預かっている求人も4月から比較すると300%増ほどになっています。
特に営業に関しては競合が増えている状況です。

■ 斎:こういった候補者側からすると選択肢が多い場合、求人側ではどんなことができるのでしょうか。

■ 建設・不動産専任担当:最も重要なことは、求人を魅力化することです。
採用したい人物像をペルソナ化し、そういった人に刺さる求人はどういうものなのかということを担当営業と打ち合わせた上で、しっかりわかりやすく求人に打ち出すことがポイントです。

また、採用背景を気にする候補者は多いです。
たとえば、事業拡大に伴う採用や新設部署の設立に伴う採用に関しては、ゼロから関われるということから若手の方の注目度が上がります。

さらに、他業界も競合になると認識いただきたいと思います。
現在、IT業界、人材系業界などの業界とのバッティングが非常に多い状況です。

目に見えた成果を出せること、歴史があることを喜びに感じる方は多いので、そういった点を建築・不動産領域としての訴求ポイントのひとつとしておすすめしています。

■ 斎:求人の刷新以外にも打ち手はあるのでしょうか。

■ 建設・不動産専任担当:他社エージェントとの大きな違いとなる「dodaプラスサービス」があります。

詳細は割愛しますが、面接確約のプレミアムオファー付きのスカウトメールなどをご活用いただくことで、競合よりも先に応募してもらえる状況を作り出すことができます。

■ 斎:第一に届ける情報の精査、魅力化、リッチ化を行ったうえで、できるだけ早くいろいろな方向から候補者に届けるというのが埋もれないための一つのやり方となるようです。


まとめ

最後に、マーケットデータはコンパスと同じです。

要件定義や求人票をしっかり作成して、エージェントとも連携したにも関わらず採用がうまくいかなかった場合は、データを根拠にすることで現状の確認や何を変更したらいいのかの修正がしやすくなります。

今までなんとなくイメージで採用していたところから、データをもとに調べてから募集を開始することで、他の企業とも差をつけやすくなるのではないでしょうか。

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